1997年の大晦日に、私はチロエ島のアンクーという小さな街にいた。パタゴニアからプエルトモンに戻り、サンチアゴからイースター島へ向かうまでの間どうしようかと考えた末、チロエ島を訪れることにした。
アンクーはとても静かで穏やかで人通りも少なく、ちょっと寂しい感じの街だった。にぎやかな繁華街があるわけでもなく、店も閉まっており、何かイベントでもあるかと思ったがそのようなこともなく、ただただ静かに1997年が終わり、そして新しい年を迎えた。
泊まったところはいわゆる民宿のようなところで、宿のおばさんやその友人たちとお茶を飲み、少しだけおしゃべりした。少しだけというのは、いかんせん英語が通じないのでもうどうしようもなかったのだが、とはいえ暖かい気持ちになった。