1997年12月24日(水)
今日のツアーは、8時45分に港に集合なので朝は少しゆっくりできる。21 DE Mayo という船と A. DE AGOSTINI という船の二隻で出かけるようだ。私は、A. DE AGOSTINI という大きいほうの船だった。
途中、シーライオンが見られるとのことだったが、小さな島の岸壁の海から2メートルくらいの高さのくぼみに一匹いただけだった。うじゃうじゃいるところを想像していたのに。ちょっとがっかり。おまけによくあることだけど、遠くてよく見えない。
途中、コンドルが巣を作る場所があるとのことだったが、たかーい岸壁のはるかかなたに3羽のコンドルを発見できただけだった。まあ、よくあることだが小さくてコンドルだかなんだかよくわからなかった。
とはいえ、飛んでいるときの姿はまさしくコンドル。羽の先が3つに分かれていて「おおっ、」と思わせるものがあった。
途中、なんとかいう鳥がうじゃうじゃいた。ロンリープラネットによれば cormorant (鵜)だそうだ。なんだかわからないがうじゃうじゃいたが、あまり見てて楽しい鳥ではなかったらしく、あまり記憶にない。
そうこうしているうちにセラーノ氷河までやってきた。ここで陸に上がって、歩くこと10分ほどすると、セラーノ氷河の終端、氷が水に落ちるところにやってくる。グレイ氷河のときと違って今度は間近に氷河を見られるので、わくわくする。
で、その氷河の印象だが、一言で言えば「ばっちい氷のかたまり」である。昨日の流氷も少し汚れていたが、こっちはもっと泥汚れでばっちい。東京あたりに大雪が降って、2、3日たったあとの汚い雪のかたまりといったふうである。氷なんだから表面がきらきら光っているのを想像したのだが、ぜんぜんそんなことはなく、ざらざらとした感じで氷というよりは雪だなあれは。これは、昨日の流氷も同じである。
何日も、いやいや何年も雨風にさらされていたのだから当然といえば当然だが、かなり侵食されて、ちょうど犬歯が何列にも並んでいるような感じである。これだと、氷河の上を歩くどころの騒ぎではないなと思った。第一えらく勾配が急で、かなりな急流なのだ、この氷河は。
そのうちの一つがどどどっと崩れ落ちて離れていくのだろう。それを期待したのだが、見ている間まったく何も起こらなかった。
氷河はどれくらいの速度で流れるのだろう。一年に数十センチだったか、そんなものだろう。今見ている氷は、何千年も前にできて少しづつ流れて、今、ようやく氷河の端にたどりついて水になろうとしているところだろう。
とまあ、そういうふうに考えれば少しは感慨もわくというものだ。悠久の時の流れと人生の短さとを比べてしみじみしながら、相変わらず貧しいお昼ごはんを食べるのだった。
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プエルトナタレス、プンタアレーナス、それにプエルトモンとかチロエ島でもそうだったのだが、食堂のメニューはえらく単純だった。だいたい、肉か魚。肉ならたいていローストチキンかビーフステーキだ。魚は、サーモン、コングリオ、たらなど。コングリオというのはアナゴだそうだが、むしろたらに似ていて、硬く身がしまっていておいしい。チリでよく食べる魚である。
店にもよるがメインディッシュには付け合せはなく、別に注文しなければならない。だいたい、ポテト、トマト、アボガド、ライスのどれか。特に凝った調理はせずに、トマト、アボガドはそのままスライスしてでてくるし、ポテトはフライドかマッシュかベイクド、ライスは塩味がついたもの。
メインと付け合せだけで$7~$8するので、これと飲み物だけという人が多い。チリは夕食が質素なのだ。野菜が足りないような気がするので、トマトスープとか、アボガドスープとかを付けて、$10くらいというパターンが多かった。レストランの値段は高めなような気がする。
ところで、緑茶を持っていったので、宿でお湯をもらって淹れてみたのだが、どうもおいしくない。やはり、水が違うということなのだろうか。あまりにも期待はずれなのでちょっとがっかり。
シーライオンといっているのはこれ。英語ではSouth American Sea Lion。Sea Lionとはアシカ科の動物全般を指す言葉で、オタリアはアシカ科の一種。