旅の目的
- トロント在住の知人宅に滞在して、ついでにナイアガラを見てくる。
- どこかワイルドな所へ行ってみる。アルゴンキン国立公園も考えたのだけどせっかくだからニューファンドランドまで足を伸ばすことにする。
- せっかくニューファンドランドまでいくのだから東の端の町セントジョンズまで行って、北米一古い町のひなびた感じを味わう。
概要
- 日程:1997年8月26日-1997年9月6日
- 航空券:カナディアン航空
成田-トロント-(X)ハリファクス-ディアレイク-セントジョンズ-(X)ハリファクス-(X)バンクーバー-成田 165000円+TAX 2900円(ITツアーセンター)
(参考:NW を使った場合) ハリファクスまでの往復が 113000円 + TAX 13700円。TAXが高いのはアメリカ-カナダを2往復するため。ハリファクスからディアレイク往復は例えば ACでC$298。セントジョンズまで行こうとするとぐんと高くなり、3区間のクーポン(CPだとC$623、ACは忘れたけどもちょっと安い)の方が安くなる。セントジョンズへ行ってみたかったし、アメリカがからむとめんどくさそうだし、NWよりCPに惹かれたので結局、CPの通しで買うことになった。
- レンタカー
ハーツ ( C$47.95/day + LDW C$10.00/day )* 4 days + 132km*15?= C$289.34
132km は 100km/day*4days を越えた分。全部で 532km走った。 - アコモデーション
- トロント
3泊 知人宅 トロント大学の近く。つまりダウンタウンのどまんなか。30階建てのマンションの30階。眺めばつぐん。
- ロッキーハーバー(グロスモーンN.P)
4泊 Ocean Acre Inn B&B C$40/day
公園入口のビジターセンターで予約してもらった。 - セントジョンズ
3泊 ABBA Inn C$55/day 下のWWWページで探して、E-mail で予約。Gower Street House の予約したのだが、同じ経営の ABBA Inn に変えられてしまった。いいかげんなものだ。それぞれ5部屋しかない小さなB&Bだった。
- トロント
- 参考リンク
ディアレイク空港
とってもちっちゃなプロペラ機を降りると、そこはとってもちっちゃな空港だった。どのくらいちっちゃいかというと、私の知る範囲では、モロッコはワルザザートの空港かあるいは沖縄は石垣島の空港くらいちっちゃい。この空港を発着する飛行機はほとんど25人乗り程度のプロペラ機だった。
飛行機を降りて、てくてく建物の入口を入ると、そこにデータショー、ビジネスショーあるいは旅行博の一番小さいブースくらいレンタカーのカウンタが四つあった。ハーツのカウンタには遠め金髪美人、良く見ると子供がいそうな女性が暇そうにしていた。
四日後にチェックインしたときも同じ女性がやはり暇そうにしていた。チェックイン後、搭乗までかなりの時間があったので待合室で本を読む。ふと見るとあくびをしている彼女と目が合い、おもわずニコリ。その後も見ていると、他の会社の係員とおしゃべりしたりしてほんとに暇そう。
滑走路側の窓の外では地上係員が三人でフリスビーを楽しんでいる。待合室にはかなりの人がいるのだが、半分くらいは都会から帰ってくる家族のお迎えのようだった。トロントからのフライトが送れる旨のアナウンスがあると、オーッというようなざわめきが起こった。
ディアレイク空港というのは要するにこんな空港なのだった。(←下川裕二風)
グロスモーン国立公園へ
空港で教わった通りグロスモーン国立公園へ向かう。地図はないのかと聞いたのだが案の定なかった。「ロッキーハーバー67KM」の案内が見えたのでこれでいいと思っていたのだが、それは教わった道なんかではなくて、ちっともよくないのだった。
ここらへんの道は、どこをどう走っているのかについての案内がほとんどなく、グロスモーンへ向かう430号線ではなくカナダハイウェイ1号線を走っていることに気がついたのは、30キロも走った後だった。まったくもう。
大急ぎで引き返して、ディアレイク空港から1号線にでるところからやり直し。430号線の入口は1号線をほんの数百メートル走ってすぐの所だった。
気を取り直して430号線を一路グロスモーンへ。こんなことで動揺して事故ったらつまらない。ひとりなので余計気を落ち着かせることに集中した。ホントはトロント在住の知人と二人で行くはずで、レンタカーも宿も半分だぁー、ばんざぁーいと思っていたのに、どたきゃんされてしまって一人になってしまって、まったくもう、ぶつぶつぶつ……と言ってる間にビジターセンターに到着。
ビジターセンターとはいうものの、ここのはちょうど高速道路のPAのように側道を入ると小屋が立っていて、ここで国立公園の使用券が買えるというもので、知らなければそのまま本線をつっ走ってしまうような感じだった。仮にそのまま行ってしまってもどこかでチェックされるでもなし、何の問題もないのだった。
ビジターセンターで C$9.75 の4日間用のパスを買う。宿は決まっているのかと聞かれたので、まだだというと、もしかしたら部屋が無いかもしれないからここで予約した方がよいという。
「トラベルガイド持ってる? 持ってたら59ページと60ページにリストがあって、…..」
「トラベルガイド? ガイドブックなら持っているんだけど、59ページ?????」
お姉さんに示されたのは、「500th Anniversary Travel Guide 1997NEWFOUNDLAND & LABRADOR」という全208ページからなるガイドブックだった。ここらで「トラベルガイド」と言えばこの本のことになるらしい。ちなみに1497年にニューファンドランドが発見されてから今年はちょうど500年目なのだ。この本の59ページから始まるロッキーハーバーの宿リストの中から、目をつけていた Lonely Planet にも載っているB&Bを指して、電話してもらった。一発でOK。そこまでの行き方も教わって、心は晴れ晴れ。ついでに、例のTravel Guide とさらに A Users’ Guide to Gros Morne とかいうなかなか素敵な冊子も貰って、うきうきとロッキーハーバーへ向かう。
Ocean Acre Inn & Pan-fried Codなどについて
とってもらったのは Ocean Acre Inn というB&Bで一泊 C$40。部屋は全部で六つ。バスルームは共有で三つ。とても清潔でいい宿だった。オーナーはデイビッドという気のいいおじさんでとても親切な人だ。
Ocean Acre Inn, Gros-Morne NP
Ocean Acre Inn
さっそくレストランとスーパーのありかを聞く。町で一番大きいホテルの中のレストランとあともう一つがちょっと高級。(デイビッドはビッグディナー!$15くらい! と言っていた。) 人気があり大勢の客で賑わっているのが、Fisherman’s Landing というファミレスみたいなレストラン。ライトミールなら Jackie’s という店がお薦めのようだ。コンビニも近くにあった。
ちょうど午後7時頃だったので、さっそく Fisherman’s Landing へ夕食にでかける。ニューファンドランドといえば鱈漁であるので、Cod を注文する。Pan-fried, Deep-Fried, Batter とあり、この Batter というのがなんだかわからなかったので頼んでみる。Batter というはもちろんバター炒めなんかではなくて、こね粉のことを指す。出てきたものは厚い衣で覆われた鱈であった。外の衣はともかく、中の鱈はうまかった。豆スープとコーヒーとチップとで C$16 .
宿に帰って、「Fisherman’s Landing で鱈を食べた」というと、デイビッドが言うには「そうかい、よかったなあ、何食べたんだい、Pan-fried か?Deep-fried か?Batterか? Batter はだめだよう。Pan-fried でなくっちゃあさあ。Pan-fried だよ。Jackie’s なんかうまい Pan-fried Cod 出すんだぜ。次は Pan-fried って言わなくちゃだめだよ」とのことだ。
うーむ。そうかー。そうだったのかー。次回は Pan-fried にしよう。
魚と言えば、ふぐの話もした。デイビッドが「昨日、お客さんと話してて話題になったんだけど、日本じゃ毒のある魚を食べるんだって」と聞いてきたので、なんか言葉を返そうと思ったのだが、ふぐを globefish ということなどその時点でわかるはずもなく、「英語でなんていうかわかんない。Fu・Gu っていうだけどさー」というしかなかった。「その Fu・Guってどういう意味だい」なんて聞いてくるので、たしか、ふぐって河豚って書くんだったよなあと思ったのだがいまいち確信が持てなかったのでやめといた。デイビッドは「調理するのにライセンスがいるんだろ。で、ライセンスとるのに3年かかるんだってな」などといろいろ知ってるらしい。タイム誌で読んだんだそうだ。
日本のいろいろな日常茶飯事について英語で説明できないもどかしさをよく感じる。なんてことない簡単な日本語なのに英語じゃわかんなかったり、あと、正確な知識がないってこともある。
シェークスピア
この宿にはシェークスピアという名前の犬がいる。いつも首にスカーフを巻いておしゃれしている。私が「シェークスピア!」と呼んでもちゃんとふりむいてくれる。よくしつけられていて、デイビッドが stay! というとちゃんとそこでじっとしている。おまけに写真を撮ろうとしたら、首をかしげてポーズをとってくれた。やけに賢い犬だ。(種類はわからないけど、中くらいの大きさで、耳はたれている)
Gros-Morne NP
シェークスピア
セントジョンズに行ってから、ニューファンドランド犬というやつを見たが、こっちは長い毛がふさふさしていて体も大きくて、走り回るよりボテっと寝ているのが好きそうなタイプだった。
newfoundland dog
ニューファンドランド犬
なぜニューファンドランドなのか?
私は 4泊だが、他の客はもう少し短いようだった。公園内の他の場所に移動しているのだろうか。カナダ人、アメリカ人は夫婦でかなり年輩。いつでもどこにでも現れるドイツ人は一組は若い夫婦、もう一組は年輩の夫婦だった。もう一人国籍不明の背の高い若者がいた。
朝食のときに居合わせた客とデイビッドとでいろいろ話をすることになる。デイビッドは、ドイツじゃどんな朝食食べるんだいなんて聞いていたが、若い女性は「食べない……。」他の人もコーヒーとパンとかあまり大したものは食べていないようだった。案の定、「日本じゃどうなんだい」と聞いてきたので、「ほとんどこれと似たようなもの」と答えておいた。つまりはパンとコーヒーと卵とソーセージである。が、「魚は食べないのかい?」なんて言うので、「そういう人もいる。魚と味噌汁が好きな人もいる」と答える。なんでそんなこと知ってるんだろう。
朝食と言えば、メープルシロップをかけて炒めたソーセージというのがよく出た。「ウルルン滞在記」にでてきたやつだ。想像していたよりもずっとおいしくて、家に帰ってからもソーセージにメープルシロップをかけて食べている。朝食のテーブルには、ストロベリージャム、パートリッジベリージャム、そしてベイクアップルジャムの三点セットが置いてある。ベイクアップルといっても本物の焼きりんごではなくて、Bakeapple という名前のものなのだそうだ。Clowdberry ともいうらしいが。名前は味が Baked apple に似ているところから来ているそうだ。ベイクアップルとパートリッジベリーはこちらではとてもポピュラーでおみやげやさんにも売っている。宿で会った人たちも当然のように知っていた。
さて、何度も聞かれたのが、「なぜニューファンドランドへ来ることにしたのか?」という質問である。この質問は旅行中何度も聞かれた。一応、「トロントに知人がいてそこに少し滞在した。で、どこか自然の中でリラックスできる所を探してここに来た」と答えていた。アメリカ人やカナダ人にとっては、「東京からトロントまで12時間」と聞くともうびっくりしてしまうらしく、「帰りはセントジョンズからハリファクス、バンクーバーと乗り継いで帰る。何時間かかるのか知らない」なんていうともう、ひぇーって感じらしい。
ウエスタンブルックポンド・ボートツアー
Western Brook Pond はフィヨルドで、つまりは「氷河に侵食された谷に、海水が入り込んで出来た細長い入江」なのである。で、ここをボートで行くわけだ。入江の奥まで16Km、往復2時間半のツアーである。料金は C$27で、ちょっと高いような気もする。
ツアーの申し込みはロッキーハーバー一のホテルですることになっている。といっても現地集合、現地解散で送り迎えなんかしてくれない。現地というのはWestern Brook Pond のボート発着所で、ハイウェイの駐車場から 3kmほどてくてく歩いたところだ。人気があるので少なくとも前日には予約したほうがいいなどと書いてある。とはいっても天気が悪くて客が集まるのかいな、と思っていたら結構な人数が集まっていてびっくりした。グロスモーンで一番観光地化されているところで、「この歳で山登りはちょっとね」といったようなご年配の観光客がいっぱいだった。
ほとんど波のない静かな入り江なので船が揺れることは少ないのだが、スピードを出すと飛沫が飛んでくるのにはまいった。中にはびしょぬれになった人もいた。雨対策にと持っていた霧の乙女号でもらったポンチョが役に立った。これをごそごそ取り出してかぶると近くのおばあさんに「Niagara !」なんて声をかけられた。両岸の絶壁は確かに壮大な景色で、ずっと見ていると首が痛くなってしまった。最も高い場所はCNタワー(533m)より高いなんて書いてあったがどこがそうだったのかはよくわからなかった。(最も高い場所の高さは確か700mちょっとくらい)
雨の日の暇潰し
ツアーが終り宿へ帰る途中で雨が降り出した。結局、その日はずっと雨だった。
ロッキハーバーから5kmほどの所にあるビジターセンターは各種資料、展示、本、おみやげ品などがあり、短いビデオなどもやっていて多少暇を潰せる。ホワイトボードに明後日までの天気予報が書いてあるのだが、明日も天気は悪そうだ。
それから、コインランドリーの場所を教えてもらって洗濯に行く。洗濯と乾燥で25?8枚使った。それと洗剤代 55?。雨の日に洗濯物の乾燥を待ちながら本を読むもいとおかし。
あとは宿で読書。さらにひたすら寝る。。。。
灯台
翌日も雨模様なので、近場を散歩することにした。宿から3kmの所に LobsterCove Head なる岬があってそこに灯台が立っている。宿の客が素敵だったというので、行ってみることにした。ちょうど雨も上がっている。が、灯台の近くはやたらと風が強くて閉口した。夏の間だけ灯台の中に入れるらしく、中にはこのあたりの歴史を表す絵や写真などが展示してあった。昔々、このあたりに最初にやってきた人々の話やロブスター漁が盛んだったころの写真などがあって意外と面白かった。
Berry Hill
午後になると完全に雨もやんだようなので、Berry Hill というハイキングコースへ行ってみることにした。小さな丘の上に登って降りてくるだけの往復1.5km、1 hour のコースだ。
Berry Hill はその昔、氷河時代の終りの海面が高かった頃は一つの島だった。と、A Users’ Guide to Gros Morne には書いてあるのをたったいま発見した。いまさらそんなこと言われても、「なんてこたない丘だね、へっ」なんて思っただけでちゃんと見てこなかったのでよくわからん。
Berry Hillの上から見た風景
Gros Morne Mountain
三日目にしてようやく太陽が顔を覗かせた。デイビッドもにこにこしながら「二日も居て初めて太陽を見たなぁ」などと言ってくる。まあ、よかった、よかった。
朝食の時にグロスモーン山の話になる。もとは、公園の中で一つだけ見るとしたらどこかなあという話だったのだが、デイビッドはうーんと考え込んで、結局、晴れの日ならグロスモーンに登るのがいいという結論になった。それはそれは素晴らしい眺めらしいのだが、ガイドブックによればグロスモーンへのトレッキングルートは、16Km Return、7-8 hours、rating は Strenuous と Very Strenuous の間なので、ちょっときついかもしれないと思ってあきらめていたのだ。
ちなみに rating はトレッキングのきつさかげんを表すもので、Easy,Moderate,Strenuous,Very Strenuous とあって、Berry Hill は Easy とModerate の間、Western Brook Pond は 3km one-wayで rate は Easy とModerate の間だった。
デイビッドが妹たちと登ったときの話では、頂上でお昼を食べて、ところどころで休憩して写真を撮っても往復6時間とのことだった。話を聞いているとそんなに難しくなさそうだし、「普段、山に登ってないけど大丈夫? 経験なくても平気?」と聞いても大丈夫だっていうし、とにかくお薦めみたいなのでだんだん行きたくなってしまった。今出れば9時過ぎにはスタートできる。8時間かかったとしても5時。まだまだ明るい。というわけで、行くことにした。
さっそく、お昼用のサンドイッチとポテトチップと水を買って、ふもとの駐車場へ向かう。スタートしたのは 9時20分。「あわてない、あわてない、ゆっくり、ゆっくり」と自分に言い聞かせてとろとろ登る。年輩の夫婦もいるのでちょっと安心するが、かと思うと信じられないくらいの早足で登っていくにいちゃんとかもいて、やっぱ世界にはいろんなやつがいるわい、とか思いながらもてくてく登っていくと1時間でベースにたどり着いた。
グロスモーン山は、その形がちょうどエアーズロックに似ている。ボコっと盛り上がった部分は岩山で緑はほとんどない。岩山の麓にベース、といってもウッドテラスのような所にベンチとルート案内図と注意書きがあるだけ、がありそこで一休みして行く手を眺め、ようしがんばるぞうと元気を出すようになっている。
Mt. Gros-Morne グロスモーン山
グロスモーン山
ここからのグロスモーンの眺めは素晴らしく、帰りにここで休んでいた時にも、老夫婦がやってきて眺めていた。もう夕方だったので「登るんですか?」と聞いたら、「いやいや私らはここまでだよ」とのこと。それぞれいろいろな楽しみ方をすればいいのだ。
ベースまではごく普通のハイキングコースだった。その後は並のハイキングではなかった。ベースのルート案内図でここがルートだよとあるところを見るとほとんどまっすぐに登っていて、スキー場で言う所の「壁」を歩いて登る感じなのだ。角度にして40度くらいか。しかも、道なんてものではなくて岩だらけの川底みたいなところを時には手も使ってえっちらおっちら進んでいくのだ。
履いていたのはボロいテニスシューズでしばらく登ると足が痛くなってきた。下を見るとベースは遥か彼方だ。ここから降りるよりも登ってしまった方がずっと楽そうなのでがまんして登ることにする。なかなか着かないなあと思いながら、できるだけエネルギーを使わないように小さな歩幅でとぼとぼとジグザグに登った。そうこうしているうちに突然平になる。やれやれ。時計をみると11時20分ちょうどベースから1時間かかった。山の平らな部分を20分程歩くと、ここが頂上だよという目印があり、さらに裏側の方へと歩いていく。
裏側の眺めは、それはもうここまでの苦労がみないっぺんで吹き飛んでしまうような光景だった。ガクンと落ち込んだ下には、細長い湖があり湖面はとても濃い紺色をしていて鏡のようだ。湖の対岸は絶壁になっていて侵食されたあとがある。遠くには同じような湖がいくつもあり、さらに遠くまで台地が広がりそれらはみな侵食されて絶壁を作り出している。
View from the top of Gros Morne
グロスモーン山頂裏側の湖
そもそもグロスモーン国立公園は、Galapagos of Geology と呼ばれ、地形の面白さにポイントがあるらしいのだが、そう言われても学術的なことはさっぱりわからない。ただただ「へぇーっ」と言ってぼーっと眺めるだけなのだが、ここからならとにかくグロスモーンという所がどういう所なのかが一望のもとにできる。
お昼を食べて、景色のいい所で何度も休みながら降りていったが、結局、駐車場に着いたのが 3時半。ちょうど 6時間のトレッキングとなった。
セントジョンズ
セントジョンズはニューファンドランド一の都会なのだが、やはりどこかひなびた感じのする町だった。北米一古い町ということで、どことなく枯れた雰囲気も感じられる。とはいえ、人口10万人というからなかなか大きな町なのだった。
Gower St., St. Johns, Newfoundland
セントジョンズの街中
パフィン見学ツアーのボートがでる港まで行く途中にセントジョンズに水を供給している大きな池がある。送迎用バンを運転するおねえさんに聞くと名前は「ビッグ・ポンド」というのだそうだ。しばらく行くと細長い池があるのだが、それは「ロング・ポンド」という名前だそうだ。もうひとつ「ミドル・ポンド」というのもあるらしい。そういえばグロスモーン山の裏にあったやつは「テンマイル・ポンド」だった。
パフィンコロニーツアー
ここでは、パフィンという変な顔をした鳥のコロニーを見に行くツアーに参加した。(C$28 + 市内から港までの送迎代 C$13 : ちょいと高いのでは?)
ここの会社:
http://www.obriensboattours.com/ss/boat-tours
パフィンはガイドブックや WWWのページなどによく写真が載っているので見れば「ああこれかっ」っていうような割と有名な鳥だと思う。飛ぶのがへたくそで、島の斜面にある巣から海へ向かって飛ぶ時はまだいいのだが、海から帰るときは一苦労だ。かなりの間、羽ばたきながら足をばしゃばしゃやって助走し、20歩くらい走ってからやっとのことで離陸完了する。船が近付くと、逃げようとして必死で飛び立とうとするのだが、結局間に合わず海に潜ってしまうのだった。
ツアーのガイドは若いにいちゃんで、気のせいかほろ酔い加減だった。ボートが出航するとあたりの風景やらこれからのスケジュールやらを説明する。
やがてパフィンの話になって、「……で、パフィンですがほとんどの人がパフィンの正確な大きさを知りません。どれくらいの大きさだと思います?」
確かに。どれくらいの大きさだと思います?
ひとりのおばさんが「かもめぐらいかしら」と答えるとにいちゃんは「うーん」といってニヤニヤしている。
「パフィンの大きさは10フィートくらいです。そんなのが部屋の中に六羽とかいる所を想像できます?」
確かに。想像するだに恐ろしい。
「…… 嘘です。本当の大きさは8?10インチです。かもめよりもだいぶ小さいんです」
あ、やっぱり。
パフィンという鳥はとても小さくて 80mm程度のレンズではとても写真にはならなかった。パフィンのコロニーになっている島に船が近付くと、突然、小さな鳥の群に遭遇する。それがパフィンだった。よくみると海面上にもたくさん漂っている。さらに島に近付くと島の斜面に膨大な数のパフィンが巣を作っている。パフィンはひっきりなしに海へ飛び立ち、そして戻ってくる。船の前後左右は飛び交うパフィンでいっぱいである。
島に数羽のかもめがいるが、あれはパフィンを捕まえて食うんだそうだ。と、説明を聞いたとたんに、一羽のかもめが海の上でパフィンを捕らえた。口にくわえてゆうゆうと運んでいく。平らな岩の上に持ち帰り、一気に丸飲みしてしまった。
* * *
帰りは朝6時20分の飛行機でセントジョンズを発つ。ちょうど嵐が来ていて夜中から心配で心配で眠れずずっとテレビの天気予報チャンネルを見ていた。朝5時に宿をでて空港へ。こんな時間でこんな天気だし、まさかキャンセルとかないだろうなぁと思ったら、意外とフライトはたくさんあり乗客も大勢いてごったがえしている。
無事に出発、ハリファクスを経由して、ついでにオタワにも降りて、やっとのことでバンクーバーへ。やっと着いたかとほっとしたが、まだ半分しか来ていないことに気づきガクゼンとする。バンクーバーからはおおぜいの日本人とともに一路東京へ。帰りはとてもつらいような気がしたのでひさかたぶりに荷物を預けた。バンクーバーで一度ピックアップするように言われたのだが、実際にはそのまま東京まで運んでくれてしまった。接続もすごくよかったので、たぶんアメリカを回るよりは楽だったろうと思う。とはいえ、自宅にたどり着いたのは宿をでてから26時間後。地球の裏側から帰ってくるのはとっても大変なのだった。