ミャンマー北部のワ州の小さな村に滞在し、ケシ栽培を体験、あげくの果てにアヘン中毒になってしまうという、それだけでもう十分貴重なルポルタージュである。村に滞在させてもらうまではさぞかし大変だったろうが、著者の豊かな人脈と熱意のなせるわざであろう。実際に村にいってしまうと、いたってのどかな風景が描かれる。よく知らない人間が想像するようなマフィアみたいなものはでてこない。
日常生活を観察し描写する力はさすがで、非常に興味深い。ケシ栽培のことがよくわかった。また、ワ州の人々の置かれた立場についてもいろいろ勉強になった。彼らにとってはケシ栽培をするしかないのであり、いきなりやめろというわけにもいかない。
著者が滞在した後から現在まで状況が大きく変わっているようで、いままでそれとなく聞き流していたミャンマーに関するニュースにも注意してみようと思う。