1997年12月18日(木)
夜行便でサンチアゴに着いた。やけに速い展開だと思うかもしれないが、別に手を抜いているわけではないぞ。
昨日の宿には、歩き方のペルー編と、トムクランシーの「合衆国崩壊」の1巻を置いてきた。ちなみに2巻はプンタアレーナスのホテルモンテカルロに置いてきた。
早朝のアルトゥーロ・メリノ・ベニテス空港に降りたったときの第一印象は、寒い!ということだった。なんでこんなに寒いの? エルニーニョか?
空港で Hotel Tokyoに電話をかける。このホテルは歩き方に Hotel Japon という名前で載っている。ご主人が日本人で、チリ人の奥様も日本語が上手だということだ。奥様が出て、無事日本語で予約ができたので、早速市内に向かう。
表へでると、Tour Express のバスが止まっていたので乗り込む。チケットはきっとどこかで売っていたのだろうが、まあ、中でも買えるだろう。係員にホテルの住所を見せて、ここへ行きたいと伝える。
うるさいやつはまとわりついて来ないし、エアポートバスはあるし、ペルーとはえらい違いだ。チリという国は、街はきれいだし、交通機関は発達しているし、治安はいいし、ものごとはきちんとしているし、旅行はしやすい国である。が、アジア的な喧騒はないし、いんちき野郎もいないし、その点がもの足りない人もいるかもしれない。思うに、あの国は、人々の生活に触れるというより、自然を見に行く方がメインではないか。
バスは、ロス・エロエス 駅近くまでやってきた。係員がやってきて、「○○通りは道の反対側のあそこだ。このバスは駅の所で止まるから、お前はこの道を少し戻ればよい」と親切に窓の外を指しながら教えてくれた。最初にこういうことがあったおかげで、とにかくチリという国が好きになった。
Hotel Tokyo のベルを鳴らすと、年老いた女性が出てきた。もっと若い人を想像していたので、ちょっと驚いた。彼女はモニカという名前で、年下の日本人と結婚し、10年日本に住んでいたそうだ。日本語を話すがチリに移り住んでからはほとんど使わないのでどんどん忘れていくそうだ。ご主人は日本の市役所で働いており、あと3年で定年なのでそれを待ってチリにやってくるらしい。
部屋の準備ができていないということで、居間で日本のテレビを録画したビデオを見せて貰った。居間や食堂には、人形やら陶器やら、たくさんの日本の古いものが置いてある。これらはサンチアゴに住む日本人から買ったものだそうだ。サンチアゴに住む日本人はお金欲しさに移民するときに日本から持ってきたアンティークをオークションに出すのだそうだ。
鉄砲が置いてあって、これはいくらだと思う? というので、適当に100万と答えたが、30万円くらいで買ったそうだ。とても安い、安いと連発していた。
Hotel Tokyo, Santiago
Hotel Tokyoの中庭
ようやく部屋が空いたので荷物を運ぶ。プライベートシャワーつきでUS$35。ちょっと高めだ。中庭がきれいで花や鳥のさえずりを楽しめる。そういうのが好きな人にはお推め。
洗濯する場所がないか聞くと、クリーニング屋へ行けという。一回いくらというシステムなので、どんなにたくさん出しても 2000ペソで、安いんだそうだ。クリーニング屋の場所と謎の呪文「ラバド イ セカド」を教えて貰った。「洗濯と乾燥」という意味らしい。「ラバド イ セカド、ラバド イ セカド、……」
クリーニング屋はあとにして、さっそく中心部へ繰り出すことにした。
まずはアメックスのオフィスへ。ここにはりっぱなオフィスにそぐわない汚らしい旅行者がたくさん来ている。私がいった時は特に汚い連中が列を作っていた。それにしても、やだ、やだ、こーゆーヒッピーみたいなやつらはキレーだ。なんでそんなやつらが来るかというと、なんとこのオフィスでは、トラベラーズチェックを US$ に換えてくれるのである。チリペソを手に入れるのにもドルの現金からの方がレートがいいし、何よりこの南米の地で米ドルキャッシュが手にはいることはとてもありがたいことだ。
あまり大量に換えてしまうと何のためのトラベラーズチェックかわからないが、この先、南を回ってくる間はドルのキャッシュをどんどん使うので、US$500現金に換えた。
日が高くなるに連れて、どんどん暑くなっていった。セントロの歩行者天国になっている通りは大変な人出である。クリスマスが近いこともあって準備の買いものに来ているようだ。みんなが山盛りのアイスクリームを食べているので、真似をした。いろいろあってどれがどれやらわからないので、とりあえず名物ということでチリモヤを選ぶ。盛り方が半端でない。超山盛りだ。みんなアイスクリームが大好きみたいだった。
お昼は中央市場でとることにする。これがとぉ?っても楽しみなのだ。入口がよくわからず裏の方に回るとさっそく食堂が並んでいる。「ウニ!、サカナ!」のかけ声につられて小さな店に入る。壁のメニューをみてわかるものを探した。
Paila Marina. これはうまそうだ。これを頼むことにする。でてきたものは海の幸スープとでもいうべきもので、とにかく涙が出るほどうんめぇー。似たものに Sopa Mariscos というのもあるのだが、どこがどう違うのかよくわからなかった。これで 1900ペソ。
ウニがあるんだよなあと思って見ると 3000ペソとちと高い。よその店もたいてい3000から4000ペソくらいで結構高いものだということがわかった。
中央市場を出て、教会の中を見学したり、ランチリのリコンファームをしたりして、そろそろ宿へ帰ろうと思って気がついた。謎の呪文はなんだっけ? 忘れてしまった。ふむ、呪文がなくてもなんとかなるだろう。
帰り道にクリーニング屋があったので、呪文のヒントがないか見てみる。看板には LavaSeco とかなんとかあり、なんとなく思い出すが、ラバドとセカドだったかセカダだったか、そんなようなやつだ。
宿へ帰り、洗濯ものをあるだけ持って教えられたクリーニング屋を探す。簡単 に見つかり、みると入口の所に料金表があって、Lavado…1000,Secado…1000とあるので、ようやく呪文を思い出す。
「ラバド イ セカド、ポルファボール」
呪文は正しかったと見えて、何ごともなく受け付けてくれた。どのように会話したのか忘れたが、とにかくシエテ (7時)に取りに来れば良いとわかった。
宿に帰って寝る。気がついたら10時過ぎで、結局取りに行けなかった。夕食もパス。
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