マンチェスターでのんびり過ごす

Last edited on 2013/02/05 - 21:29

7月1日

ニューヨーク発のUA908便は,朝7時にロンドン,ヒースロー空港に到着した.成田を出発したのは,昨日の夕方5時,今から22時間前だ.思ったよりつらくはなかった.少なくとも何年か前にのったアエロフロートよりずっといいと思う.

イギリス行きの目的は,マンチェスターに住む友人夫妻を訪ねることである.

友人と前もって打ち合せた通り,今日の3時の列車でマンチェスターに向かうことにし,空港から電話でそう伝えた.マンチェスター行きの列車はユーストン駅から出る.前もって調べたところによるとユーストン駅に荷物預りがあるらしく,とりあえずユーストン駅に行くことにした.

さて,荷物を預けて身軽になったが,午後までどうしよう.この近くで何か見るものはないかというと,...大英博物館である.その大英博物館はさっと流して,コベントガーデンへ向かった.正直言って大英博物館にはそんなに興味がなかったんだ.

とてもいいお天気だったせいで,コベントガーデン周辺はたくさんの人で賑わっていた.こういうのって結構好きなんだ.地元の人も観光客も思い思いの格好で夏の日差しを存分に浴びながらベイクドポテトを食べたり,道端の弦楽四重奏を聞いたり,大道芸を見たりしている.そんな中の一人となってぼんやりひなたぼっこするのって幸せだなあ.

ベイクドポテトの店があったのだが,このポテトがすごいんである.大きいんである.ビッグマックくらいあるんじゃないか.「ベイクドポテト+おかず」という形式だったので,チリビーンズをいっしょに頼んだのだが,すぐ後悔した.多過ぎて,特大じゃがいもだけでよかった.

貧乏音大生のアルバイトなんだろうが,弦楽四重奏をやっていた.その時は,おやめずらしい,と思ったが,実はロンドンではレスタースクエア周辺であちこちでやっていた.決まって「ボレロ」で盛り上がるのだ.で,「天国と地獄」とか「ハンガリー舞曲」とか曲目はある程度決まっているみたい.そのほうが受けがいいんだろう.中に,誰も知らないようなバロック音楽をやっているのもいたけど,こちらはとても真剣で,それに,なんだか上手だったような気がする.

みんな音楽が好きみたいだった.若者も老人も男も女もさまざまな人が集まって聞いている.子どもも座り込んで聞いている.指揮者の真似をするおじさんもいる.こういう所が,成熟した文化の国っていうか,ちょっと違うぞっていう気がする.原宿のホコ天でやってるやつも,あれはあれでいいと思うんだけど,特定の層が集まってそれだけで閉じちゃってるから,何かみんなのものって気はしないもの.

そうこうしているうちに2時近くなったので駅に帰ることにした.途中,パブがあり,前の舗道にネクタイ姿の会社員がたむろしてビールを飲んでいた.金髪のお姉さんも飲んでいた.昼休みってことかな.ちょっと遅くないか? 仕事はどうした.大きなお世話か.まぁいいや.

さて,3時にユーストン駅をでた列車は,ずーっと同じ景色の中を気持ち良く走ってゆく.本当にずーっと同じなもんでやんなちまった.時差のせいか,とても眠くなり,やさしい日の光が心地よく,くーくー寝ているとマンチェスターに着いた.

駅に着く直前のアナウンスでは,「ようこそ,オリンピックシティ,マンチェスターへ」なんて言ってた.まわりの人は苦笑していた.僕は意味がわからなかったのだが,あとで,マンチェスターがオリンピックの候補地であることを聞いた.でも,敗れちゃいましたね.

駅で,迎えに来てくれていた友達に会い、友人宅へ向かった.日本人はみな市の中心からかなりはなれた南側の郊外に住んでいる.大学から私の友人夫婦の家まですぐに着いたような気がしたので,大学まで10キロと聞いて驚いてしまった.

友人夫妻の家に着いた.中を見て,もうびっくり.ベッドルームが三つあり,広過ぎるくらいのキッチン,ダイニング,リビング,広い庭と,もう羨ましくなるような所だった.僕は窓のある広い部屋を使わせてもらうことになっていて,高級ホテル並の広いベッドが置いてあった.

イギリスの友人宅の庭

イギリスの友人宅の庭

なんでも庭師が来て庭の手入れをするのだそうで,ただし,雇っているのは大家なんだが.庭には色とりどりのバラがたくさん咲いていた.「オリバー君」と名付けたリスがやってくるので,よくピーナッツを撒いておくそうだ.でもそのピーナッツは「コッコちゃん」と呼んでいる,鳩よりちょっと大きな鳥が来てぜぇーんぶ食べてしまう.

あたりはとても静かで,家の中で話しをやめてしまうとしーんとして,気まずいくらいの静けさだ.

時間はまだ10時で,なんと外は明るかったが,旅の疲れと素敵なベッドのおかげで,深い眠りに落ちた.


7月2日

「ねえ,物音一つ立てずに,熟睡してたでしょ」と言われるほどに,いやあ,よく寝たぁ.自分の部屋で寝ているよりいいんだよね.

今日は,湖水地方へ出かけることになっている.

車があるおかげで,北のはじの街,ケズウィックへまず入った.ストーンサークル,バタミア湖畔,ホークスヘッドの土産屋,ピーターラビットの故郷,ヒルトップと回った.まあ基本を押えたというか,そういうことです.

バタミア湖畔でお弁当を食べたけど,だあれもいなくて,静かで,とっても感じのいい所だった.

ピーターラビットのマグ

ピーターラビットのマグ

ホークスヘッドのお土産屋さんでは,ついついピーターラビットのマグを買ってしまった.定価通りで,確か6ポンドちょっとだったが,ロンドンではセカンド品が半額で売っていた.ちなみに,近所のダイクマでは「半額」と称して,イギリスの定価とおなじくらいの値段で売っていた.


7月3日

2日目の今日は,ヨークである.「日本人はなんで誰も彼もヨークへ行くんだ」とは某イギリス人の弁だが,そんなことはないぞ.ヨークは観光客であふれていた.日本人だけじゃない.

ここのところ,ずっと天気がいいそうで,今日も素晴らしい天気だ.これはめずらしいことのようだ.

ヨークミンスターを見学し,シャンブルズと呼ばれる石畳の通りを歩き,クリフォードタワーに登り,それから,キャッスル博物館を見学した.

このキャッスル博物館だが,様々な年代の「生活」に関するものをこれでもかというほど集めて陳列している博物館である.これでもかというほど並べてみせるというのがポイントで,イギリス人はそういうのが好きなんだろうか.

各年代の暖炉がずらーっ.台所がずらーっ.とまあこんな調子である.暖炉ばっかりがずらーっと並んだところを一つ一つ見ていくことを考えてくれたまえ.「ほほう,これが1800年でこれが1820年か.なるほどちょっと違うねえ」とか言うんだろうか.

1960年ごろの生活までが,コレクションの中に入っていた.私の生まれた年の製品もあった.もう一昔前になってしまったんだわ...

帰るころになっても,いつまでも明るいというのは本当にいい.でも,冬は結構悲惨なんだそうだ.朝出る時はまだ暗くて,帰る時も暗い.3時頃暗くなっちゃうそうだ.想像しただけでやんなっちゃうよねえ.そういう意味じゃ日本なんかはバランスがとれててちょうどいいんじゃないだろうか.


7月4日

今日は,マンチェスター市内からさほど遠くない所にあるナショナルトラストの公園にでかけた.

ここは,昔の貴族の屋敷である.門を入ると並木道がずーっと続き,しばらく行くと広大な緑の草原が広がっている.たくさんの羊や山羊がうろうろしている.どうも彼らは人間には無関心らしく,知らん顔してむしゃむしゃ草を食べている.草原の向こうには池,というか湖があるらしい.ま,相当な広さの公園が昔は誰かの家だったと,そういうわけである.

そのお屋敷とやらを見学できるという.どんな風かというと,そうだなあ,ベルサイユ宮殿とか,ああいう感じ.長方形の大きな部屋がたくさんあって,立派な絵が掛けてあって,見事な装飾がなされているという,そういうおうち.

あれだけ広いと,誰かを探すのにも家の中のどこにいるんだかわかんなくて大変だろうと思うんだけどなあ.などと変なことを考えてしまった.

そういうきれいな部屋だけではなくて,地下の台所だとか,ワインセラーだとか,食器をしまう部屋だとかも見ることができる.むしろ,そういう部屋の方が面白いかもしれない.台所がね,すごいんだよね.台所っていうより,調理場って言った方がいいか.僕が住んでる部屋全部よりも広いね,たぶん.

ナショナル・トラストについて。 ナショナルトラスト - Wikipedia